日本でのそろばん

【全国にあるたくさんのそろばん塾】

日本中の公民館などでそろばん教室が盛んに運営されている日本では、全国にどれだけの数のそろばんが存在するのか見当もつきません。 1人あたり2つ所持しているとしたら約2億ものそろばんが国中に散らばっていることになりますが、 それではちょっと多すぎる気もしますのでその7割の1億5千万位かもしれませんが、数えたことがないのでちょっと適当です。 学習塾に通うような感覚でそろばん教室へ通わせる親なら子供に買い与えているでしょうし、学校の授業でもそろばんを習うので、 最低でも一度は自分の道具としてマイそろばんを持ったことはあるはずです。 教室へ通わせているのなら珠算検定に合格したお祝いにオニューのそろばんをプレゼントすることもあるでしょうし、 熱心に取り組んでいる子供なら年末のクリスマスにはサンタクロースに「丈夫で壊れにくい新品のそろばんが欲しい」とお願いしてゲットすることもありそうです。 欲張りさんならサンタさんに「右手用と左手用の2つ欲しいです」と願う子供もいるかもしれないので、 それが習い事を続けている間続くのなら人生の中で手に入るそろばんの数はだいたい1~9といったところでしょうか。

【そろばん塾のルーツは寺子屋】

今ではそれだけ普及しているこの便利道具はいつ頃日本にやってきたのでしょうか。 中国から伝わってきたという説が有力で、時代的には室町だと思われます。 中国との貿易が頻繁に行われるようになり、長崎や大阪に便利な計算道具として上陸したのが16世紀と言われております。 時代劇では越後屋がそろばんを弾く姿を私達に見せてくれますし、その頃には商人ご用達の道具として普及していたのでしょう。 日本に存在する最古のそろばんは加賀の前田家が使っていた物で、1592年の文禄の役の時に前田利家が使ったというプレミアものです。 古いというだけで古物商が喜んで高価買取してくれそうなアイテムですが、使用したのが前田利家というオプションまで付いていたら、 もうどれだけの価値になるのか素人には見当もつきません。 リサイクルショップに持ち込んでも買取拒否されるかもしれませんが、歴史的価値を査定する目がない店員しかいなければそれも仕方ありません。 その品を見て「むむ、これは文禄の役で肥前名護屋に本陣を構えた前田利家がそこで使ったという伝説のそろばんじゃないか!」と驚きの声を上げるような 鑑定人でなければ本当の価値を知らないからです。 とは言ってもこれが世に出回って売買されることもないでしょうし、うっかり子供が塾に持っていって使うこともなさそうなので、私達が手にする機会はありません。 なのでリサイクルショップの店員が正しく鑑定できなくてもたいした問題ではありませんし、勉強不足だと責めてはいけません。 質屋レベルなら年代物で価値がありそうだと鑑定するかもしれませんが、それが限界で、前田利家さんが使った品だとまでは分からない人が多いでしょう。 なにしろ世界中でたった1つしかないアイテムなので、実物に触れたり観察したことのない商人のほうが圧倒的に多いから仕方ありません。 とにかく日本ではその時にはそれなりに普及していた、ということです。 江戸時代になると今で言う学校の寺子屋で子供達が勉強をして字を読めるようになったり書けるようになるのですが、そこで計算も覚えます。 今のように電卓がないので使った道具はそろばんで、寺子屋に通った子供はそこで使い方をマスターしていたそうです。 今のように義務教育ではありませんが、そんなに昔から一般教養としての習い事にそろばんが存在していたことにちょっとびっくりです。 もはや日本の伝統といってもよく、学習塾に通わせる時間があったらそろばんを習わせたいという親が少なくないのも納得の歴史です。 現代社会で寺子屋を探しても見つかりませんが、探せば教室を見つけることはきっと容易いでしょう。

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